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人事労務ニュース

2015/02/03

最高裁判決を受けて改正された均等法・育介法の不利益取扱い禁止等に関する通達

2015/03/24

 昨年10月、妊娠を契機とした降格が雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「均等法」という)に違反するかどうかが争 われた訴訟の判決が最高裁で言い渡され、原則として本人の同意がなければ違法であるとの判決が下されました。この最高裁判決を受けて、2015年1月23 日に、厚生労働省が均等法と育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育介法」という)の解釈に関する通達の改正を行 いました。

1.改正された通達の内容
 そもそも均等法、育介法については、それぞれ通達によりその趣旨や内容等が

示され、これに基づいて労働局は行政指導等を行っています。

今回、これらの通達が改正され、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた

不利益取扱いは原則として法が禁止する妊娠・出産、育児休業等を「理由として」行った不利益取扱いと

解されるということが示されました。

 具体的には、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」不利益取扱いを行った場合、原則として均等法、育介法に違反し、妊娠・出産、育 児休業等を「理由として」不利益取扱いを行ったと解釈されることになります。なお、「契機として」とは基本的にその事由が発生している期間と時間的に近接 して不利益取扱いが行われたか否かで判断され、例えば、育児休業を請求・取得した労働者について、定期的に人事考課・昇給等が行われており、請求後から育 児休業の取得満了後の直近の人事考課・昇給等の機会までの間に、昇進・昇格の人事考課において不利益な評価が行われると、それは「契機として」行われたも のとして判断されることになります。ただし、以下の例外が認められます。

【例外①】
 業務上の必要性から支障があるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、その業務上の必要性の内容や程度が、法の規定の趣旨に実質的に反し ないものと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在するとき
【例外②】
 契機とした事由又は当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、有利な影響の内容や程度が当 該取扱いによる不利な影響の内容や程度を上回り、事業主から適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば同意するような合理的な理由が客観的に存在す るとき

 この結果、特例水準の段階的な解消(▲0.5%)があるため、平成26年度の特例水準の年金額からの

改定率は、基本的には0.9%の引上げとなり、以下のようになります。
・国民年金(老齢基礎年金:1人分) 月額65,008円
・厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)月額221,507円(※)


※厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬 ※賞与を含む月額換算42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準

 なお、受給者の受取額が変わるのは、通常4月分の年金が支払われる6月からとなります。

2.国民年金保険料
 国民年金の第1号被保険者が負担する国民年金保険料は、以前の年金制度改革で平成17年度以降、毎年280円(月額)ずつ引上げられ、平成29年度には16,900円で固定されることが決定しています。ただし、各年度の実際の額については、物価変動率等を勘案した保険料改定率を乗じることになって おり、その結果、平成27年度からの国民年金保険料額は平成26年度よりも340円上がり、月額15,590円となります。

 

 この保険料についてはまとめて納付する前納ができ、その場合の保険料額は以下のようになります。
・2年前納
口座振替の場合 366,840円(毎月納める場合より15,360円の割引)
※2年前納については現金納付の取扱いはありません。
・1年前納の場合
口座振替の場合 183,160円(毎月納める場合より3,920円の割引)
現金納付の場合 183,760円(毎月納める場合より3,320円の割引)
・6ヶ月前納の場合
口座振替の場合 92,480円(毎月納める場合より1,060円の割引)
現金納付の場合 92,780円(毎月納める場合より760円の割引)

 口座振替による2年前納、1年前納、6ヶ月前納(平成27年4月分から9月分まで)をするためには、平成27年2月末日までに手続きを行う必要がありま す。退職する従業員などで国民年金の第1号被保険者に該当する場合には、事前に手続きと保険料額を伝えておきたいものです。

         ■参考リンク

         厚生労働省「平成27年度の年金額改定について」
         http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072678.html

 

         厚生労働省「平成27年度における国民年金保険料の前納額について」
         http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072694.html

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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