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人事労務ニュース

2015/03/10

退職後に加入する健康保険制度の選択肢とその特徴

2015/03/24

多くの企業では年度末にかけて、転職などによる退職者が増加する時期となっています。その際、従業員から退職後の健康保険についてどのようにすれば よいかという質問を受けることがあるのではないでしょうか。そこで今回は、退職後に加入する健康保険制度の選択肢とその特徴をまとめます。

 

退職後に加入する健康保険制度としては、通常、以下の3つより選択することになります。①家族が加入している協会けんぽ等の健康保険の被扶養者になる

②退職前に加入している健康保険を任意継続する

③市区町村が運営する国民健康保険に加入する

以下では、それぞれの選択肢の内容および特徴について解説します。

①家族が加入している協会けんぽ等の健康保険の被扶養者になる

 健康保険の被扶養者は、保険料がかからないことが最大のメリットとなります。ただし、家族の有無や収入制限があるため、この制度をすべての退職者が選択できるとは限りません。

 

②退職前に加入している健康保険を任意継続する

 健康保険制度には、一定の要件を満たせば在職中の健康保険に加入し続けることができる「任意継続制度」があります。任意継続の被保険者である期間につい ては、原則として資格喪失前と同様の保険給付を受けることができますが、傷病手当金および出産手当金については支給されません。保険料については、在職中には事業主が半分負担していたものを被保険者が全額負担しなければならないため、在職中の2倍の保険料を納付する必要があります。ただし、退職時の標準報酬月額が、被保険者全体の平均標準報酬月額を超えている場合には、その平均標準報酬月額で保険料を計算することになります。協 会けんぽの場合、この平均標準報酬月額が28万円となっており、平成27年度についても同額になることが決まっています。

 

③市区町村が運営する国民健康保険に加入する

 国民健康保険は現在、市区町村で運営されています。したがって、市区町村により保険料の計算方法が異なり、一概に保険料を計算することができません。ただし、その計算の元となる金額は、退職者を含めた前年の世帯の所得によるため、一般的に前年の所得が高い世帯については保険料も高額になる傾向が見られま す。また、健康保険には被扶養者という制度がありますが、国民健康保険にはこの制度がないため、在職中に被扶養者であった者もすべて被保険者となります。 よって被扶養者が多い世帯も、保険料が高額になる可能性があります。

 

 以前は、健康保険と国民健康保険で、医療機関の窓口で支払う一部負担金の率が異なるなど、給付面での差異がありましたが、現在ではいずれの選択肢 においてもその違いはほとんどなくなっています。そのため、制度の選択を行う際には、保険料の負担額で決定することが多く、退職者標準報酬月額と前年の世 帯の所得に基づき、判断することになります。

 

 従業員から相談があった際に、わかりやすく説明できるように制度の特徴を整理しておきたいものです。

 

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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