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人事労務ニュース

2015/03/03

過重労働解消キャンペーンによる労基署調査対象事業場の83.6%で法令違反

2015/03/24

厚生労働省は昨年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し、労働基準監督署による重点監督などを進めましたが、先日、この実施結果が発表されました。そこで、今回は、この実施結果の内容をとり上げましょう。


 昨年行われた重点監督は、長時間労働削減推進本部の指示の下、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨 て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われる事業場に対して集中的に実施されました。内容を見てみると、対象となった4,561事業場の うち3,811事業場(83.6%)において労働基準関係法令違反が指摘されました。その主な違反内容は以下のとおりとなっています。

□違法な時間外労働があったもの:2,304事業場(50.5%)
 うち、時間外労働※の実績が最も長い労働者の時間数が
 月100時間を超えるもの  :715事業場(31.0%)
 うち月150時間を超えるもの:153事業場( 6.6%)
 うち月200時間を超えるもの: 35事業場( 1.5%)
 ※法定労働時間を超える労働のほか、法定休日における労働も含む。
□賃金不払残業があったもの:955事業場(20.9%)
□過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:72事業場( 1.6%)

 このように重点監督実施事業場の約半数で違法な時間外労働が行われています。また、この重点監督の対象となった業種を見てみると、製造業が 1,225事業場と圧倒的に多く、商業、その他の事業、保健衛生業と続いています。上記の違法な時間外労働があった事業場の業種をみると、製造業、商業、 接客娯楽業、その他の事業と続いており、接客娯楽業については、重点監督の対象となった事業場数のうち違法な時間外労働があった割合が他の業種に比べ高い ことが分かります。

 

 先日、労働時間法制改革にかかる改正労働基準法の法律案要綱が公表され、中小企業について猶予されている月60時間超の時間外労働の割増率50%の適用が、2019年4月より実施される方向が明らかになりました。今後、過重労働に基づく健康障害の防止を図るため、今後、様々な過重労働対策が打ち出される見込みとなっていますが、時間外割増賃金の増加という観点でも規制が強化されることになります。改めて労働時間管理のあり方の見直しと生産性の高い 業務の実施が求められます。

         ■参考リンク

         厚生労働省 平成26年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
         http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072217.html

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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